ベトナムでの生活やビジネスを本格的に始めるなら、現地の銀行口座を持っているかどうかで日常の快適さが大きく変わります。
給与受け取りや家賃支払い、QR決済アプリ利用、海外送金など、現金だけでは対応しづらい場面がベトナムでは意外と多いからです。
一方で、ここ数年は外国人の銀行口座開設条件が厳格化され、観光目的の短期滞在者は口座を作れないケースが増えているのも事実です。
そこで、ベトナムで銀行口座を開設したい日本人や駐在家族向けに、最新のルールにもとづいた必要書類と手順、銀行選びのポイントや注意点を整理します。
ベトナムで銀行口座を開設する7ステップ必要書類ガイド
まずは全体像として、ベトナムで銀行口座を開設するときの流れを7つのステップに分けて整理し、必要書類と一緒にイメージできるようにします。
ベトナムで銀行口座を持つ目的の整理
最初に、自分がベトナムで銀行口座を持ちたい理由をはっきりさせることが大切です。
代表的な目的としては、給与受け取り、家賃や光熱費支払い、ベトナム国内でのキャッシュレス決済、海外からの送金受け取り、日本への送金などがあります。
目的を整理しておくと、普通預金だけで足りるのか、外貨口座も必要か、デビットカードやインターネットバンキングをどこまで重視するかが自然と見えてきます。
この段階で「当面は給料と生活費管理が中心」なのか「ビジネス用に法人口座も視野に入れたい」のかを決めておくと、後の銀行選びがスムーズになります。
また、目的がはっきりしていると、銀行窓口で担当者に相談するときも希望条件を伝えやすくなります。
ベトナムで銀行口座開設に必要な滞在資格確認
次に、ベトナムで銀行口座を開設できるだけの滞在資格を自分が持っているかを確認します。
現在は多くの銀行で観光ビザや短期滞在だけの人への口座開設を受け付けておらず、長期ビザや一時滞在証、就労許可証などが前提になっているケースが一般的です。
具体的には、ワークパーミット付きのビザ、配偶者ビザ、投資家ビザ、学生ビザ、一時滞在証(TRC)などがあると、口座開設のハードルは大きく下がります。
銀行によっては、90日程度の長めのビザと現地住所証明があれば個人口座を認めることもありますが、支店ごとに運用が異なる場合がある点には注意が必要です。
滞在資格が微妙な場合は、事前に候補となる銀行や支店に連絡して、自分のビザ種類で口座開設が可能かどうかを確認しておくと安心です。
ベトナムで銀行口座開設に必要な書類準備
滞在資格を確認したら、実際に銀行に持参する書類を整理します。
多くの銀行で共通して求められるのは、有効期限が十分に残っているパスポートと、パスポートに貼付されたビザまたは一時滞在証です。
さらに、現地住所を示す賃貸契約書や、ホテルの滞在証明、電気料金の請求書などの住所証明を求められることがよくあります。
就労者の場合は、就労許可証や雇用契約書、会社のレターなどを追加で求められるケースもあります。
ベトナムの携帯電話番号は、SMSによるワンタイムパスワード認証に使われるため、口座開設前に現地SIMを取得して番号を持っておくとスムーズです。
口座を開設する銀行選びの検討
書類の準備と並行して、どの銀行で口座を開設するかも検討していきます。
ベトナムには、大手の国営系銀行から民間の商業銀行、外資系銀行まで多くの選択肢があり、それぞれ支店の多さや外国人への対応、アプリの使いやすさが少しずつ異なります。
日系企業が多いハノイやホーチミンでは、VietcombankやTechcombank、BIDVなど、外国人対応に慣れた大手銀行を選ぶ人が多い傾向があります。
給与振込銀行が会社側で指定されている場合は、その銀行で口座を作るのが基本となるため、早めに人事担当者に確認しておくとよいでしょう。
都市部以外や地方へ頻繁に出張する場合は、自分がよく行くエリアに支店やATMが十分にあるかも重要な比較ポイントになります。
銀行窓口での申し込み手続き
銀行と支店を決めたら、必要書類を持って窓口に行き、口座開設の申し込みを行います。
最初に受付で「口座を作りたい」旨を伝えると、担当窓口に案内され、申込書やKYC(顧客情報確認)フォームへの記入が始まります。
フォームはベトナム語が中心ですが、英語版や担当者によるサポートが用意されている銀行も多く、疑問点はその場で確認しながら記入できます。
このタイミングで、口座の通貨(VNDのみか、外貨併用か)や、デビットカード付帯の有無、ネットバンキング利用の可否なども一緒に決めます。
記入が終わると、パスポートやビザのコピー、住所証明の確認が行われ、問題なければ初期入金と口座番号の発行に進みます。
初期入金やカード受け取りの流れ
申込書の受理と本人確認が終わると、口座を有効にするための初期入金を求められるのが一般的です。
初期入金額は銀行によって異なりますが、数十万VNDから数百万VND程度の範囲に収まることが多く、大きな負担にはならない水準です。
窓口で現金を預けると、すぐに口座番号が発行され、その場で口座情報が記載された控えを受け取ることができます。
キャッシュカードは、その場で即時発行される場合と、数日から1週間程度後に再訪して受け取る場合があり、このあたりも銀行や支店によって運用が分かれます。
カードを受け取った際に、暗証番号の設定方法やPIN変更のやり方を確認し、封筒に書かれた仮暗証番号はすぐに変更するのが安全です。
ネットバンキングやアプリ設定の完了
最後に、日常的な利用に欠かせないインターネットバンキングやモバイルアプリの設定を行います。
多くの銀行では、口座開設と同時にオンラインバンキングの申込みを行え、専用アプリのダウンロードや初期ログイン設定をその場で案内してもらえます。
ログインIDやパスワード、トークンアプリやSMSによる二段階認証の仕組みは、銀行ごとに仕様が少しずつ違うため、メモを取りながら設定を進めると安心です。
アプリでは残高照会や振込、公共料金支払い、携帯電話チャージなど多くの機能が利用できるので、自分がよく使う機能を一度試して操作感に慣れておきましょう。
ここまで完了すれば、ベトナムでの生活費管理や給与受け取り、日本との資金移動が格段に楽になります。
ベトナムで銀行口座を開設しやすい主要銀行の特徴
次に、ベトナムで外国人が口座を作る際によく名前が挙がる主要銀行の特徴を整理し、自分に合った銀行を選びやすくします。
Vietcombankの口座特徴
Vietcombankは、ベトナムを代表する大手銀行の一つで、都市部から地方都市まで広いネットワークを持っています。
外国人向けの口座開設にも比較的慣れており、英語対応ができる支店や担当者が多い点が安心材料になります。
給与受け取りや日常の支払いに使うVND口座だけでなく、外貨預金やカード、デジタルバンキングサービスも充実しています。
近年はスマホアプリのVCB Digibankが強化され、オンラインでの残高確認や振込、各種支払いがしやすいことも大きなメリットです。
ベトナムで長期滞在する日本人にとって、まず候補に入れておきたい銀行の一つと言えます。
| 銀行名 | Vietcombank |
|---|---|
| 特徴 | 全国的な支店網と安定した大手銀行 |
| 外国人対応 | 英語対応窓口が比較的豊富 |
| 主な用途 | 給与受け取りや日常決済向けVND口座 |
| デジタルサービス | VCB Digibankでオンライン取引が可能 |
Techcombankの口座特徴
Techcombankは、デジタルバンキングに強みを持つ民間銀行で、都市部を中心に人気が高まっています。
個人向けの口座では、アプリからの操作を前提としたサービス設計が進んでおり、スマホでの残高確認や振込を重視する人には使いやすい銀行です。
一方で、外国人の口座開設に関しては、就労許可証や労働契約書、一時滞在証など、比較的しっかりした滞在資格や書類を求める運用が多い傾向があります。
条件さえ満たしていれば、ネット取引の使い勝手や手数料水準は魅力的で、日常の決済をほぼアプリだけで完結させたい人には向いています。
給与口座を別に持ちながら、決済専用口座としてTechcombankを併用する使い方も選択肢の一つです。
| 銀行名 | Techcombank |
|---|---|
| 特徴 | デジタルバンキングに強い商業銀行 |
| 外国人対応 | 就労者や長期滞在者向けの運用が中心 |
| 主な用途 | 日常決済やオンライン取引の比重が高い人向け |
| デジタルサービス | 専用アプリで手数料優遇や便利機能を提供 |
BIDVの口座特徴
BIDVは、国営色の強い大手銀行で、ベトナム国内での資産規模も大きい安定感のある金融機関です。
支店網が広く、地方都市や工業団地周辺にも拠点があるため、駐在員として地方勤務が多い人には使いやすい場面が多くなります。
外国人が口座を開設する際には、パスポートやビザに加えて、在留証明や勤務先情報などを詳しく聞かれることもあるため、書類準備はやや丁寧さが求められます。
その分、長期でベトナムに関わる予定のある人にとっては、信頼性やサービスの幅の広さという意味で心強い選択肢になります。
住宅ローンや投資関連サービスなども視野に入れる場合は、最初からBIDVで口座を作っておくメリットもあります。
| 銀行名 | BIDV |
|---|---|
| 特徴 | 国営色の強い大手銀行で資産規模が大きい |
| 外国人対応 | 在留証明や勤務先情報を重視する傾向 |
| 主な用途 | 長期滞在や将来のローン利用も視野に入れる人向け |
| デジタルサービス | スマートバンキングアプリで各種サービスに対応 |
ベトナムで銀行選びをするときの比較軸
実際にどの銀行で口座を開くかを決めるときは、複数の比較軸を意識しておくと後悔が少なくなります。
どの軸を優先するかは人によって異なりますが、自分の生活スタイルや勤務先の条件に合わせて重み付けを変えていくとよいでしょう。
日本と違い、銀行アプリの使いやすさや英語対応の有無が日常のストレスに直結しやすい点も意識したいポイントです。
以下のような観点で候補となる銀行を比較してみると、自分にとっての最適解が見えやすくなります。
- 支店やATMの数と生活圏からの距離
- 外国人への対応実績や英語対応の可否
- アプリやオンラインバンキングの操作性
- 口座維持費用や振込手数料の水準
- 給与振込や会社指定銀行との相性
- 将来のローンや投資サービス利用の可能性
ベトナムで銀行口座開設に必要な書類条件の整理
続いて、ベトナムで銀行口座を開設する際に外国人が求められることが多い書類類を整理し、どの程度の準備が必要かをイメージできるようにします。
本人確認書類の基本パターン
本人確認に関する書類は、どの銀行でも必須となる最も重要な要素です。
パスポートやビザの残存期間が足りないと、その場で口座開設を断られてしまうこともあるため、出発前から意識しておくと安心です。
ベトナム入国後にビザ延長や一時滞在証の取得を予定している場合は、取得後に口座開設するスケジュールも検討に入れておきましょう。
以下のような書類が、本人確認の基本セットとして求められることが多いと考えておくとよいです。
- 有効期限が6か月以上残っているパスポート
- パスポートに貼付された有効なビザ
- 一時滞在証やレジデンスカード
- パスポートとビザページのコピー
- 証明写真を求める銀行もあるため余裕を持った準備
滞在資格やビザ条件の目安
滞在資格は、外国人の銀行口座開設可否を分ける大きなポイントであり、銀行や支店によって運用が異なる部分でもあります。
観光ビザでの口座開設は原則として難しくなっている一方で、ビジネスビザや就労ビザ、長期学生ビザなどであれば比較的スムーズに進むことが多いです。
また、一時滞在証(TRC)を持っていると、より確実に口座開設を認めてもらえるケースが増えます。
自分のビザ種類がどの位置付けにあるのか理解するために、以下のようなイメージで整理しておくと判断しやすくなります。
| ビザ種類 | 観光ビザや短期滞在ビザ |
|---|---|
| 口座開設可否の傾向 | 原則として難しい運用が多い |
| 長期滞在資格 | 就労ビザや配偶者ビザ、投資家ビザなど |
| 口座開設しやすさ | 必要書類がそろえば認められやすい |
| 一時滞在証 | TRCがあると審査が安定する |
現地住所や電話番号証明の考え方
ベトナムで銀行口座を開設する際には、現地住所と電話番号の提示を求められることがほとんどです。
アパートを借りている場合は賃貸契約書がそのまま住所証明として使えることが多く、ホテル暮らしの場合は滞在証明書や予約確認書が受け入れられることがあります。
一方で、住所証明の扱いは銀行ごとに運用差があるため、どの書類が必要かは事前に支店へ確認しておくと無駄な往復を減らせます。
ベトナムの携帯番号は、多くの銀行でオンラインバンキングのログインや取引確認に使われるため、プリペイドSIMであっても自分名義の番号を用意するのが基本です。
住所変更や電話番号変更をした際に、忘れずに銀行にも届け出ておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。
収入証明や就労証明が必要な場面
普通預金口座だけを開設する場合でも、銀行によっては収入や就労状況に関する書類を求めてくることがあります。
代表的なものとしては、就労許可証、雇用契約書、会社のレター、学生の場合は在学証明書などが挙げられます。
これは、マネーロンダリング対策や不正利用防止の観点から、口座の利用目的と資金の出どころを明確にするための手続きです。
将来的にローンやクレジットカードの利用を検討している場合は、就労証明や収入証明を早めに整えておくことで審査を有利に進められることがあります。
雇用主にレターの発行を依頼する際は、「銀行口座開設のために必要」であることを伝えると、内容を整えてくれることが多いです。
ベトナムの銀行口座を開設した後の利用方法の注意点
口座開設が完了した後は、ATMやアプリ、海外送金など、日常的な利用シーンでのポイントを押さえておくことでトラブルを減らし、安心してお金を管理できます。
ATMキャッシュカード利用の注意点
ベトナムのATMキャッシュカードは、VND引き出しや残高照会だけでなく、カードによってはデビット機能を備えている場合もあります。
ATM利用時には、利用可能時間帯や一度に引き出せる上限金額、手数料の有無などを事前に把握しておくと安心です。
暗証番号入力時は、日本以上に周囲からの視線に注意し、カードの盗難やスキミングリスクを意識して利用することが大切です。
以下のようなポイントを意識しておくと、ATM利用でのトラブルを減らしやすくなります。
- 人通りの多い支店併設ATMを優先して利用する
- 暗証番号入力時には手で覆って視線を遮る
- レシートに残高やカード番号が印字されていないか確認する
- 見慣れないエラー表示や機械の異常を感じたらすぐに利用を中止する
- カード紛失時の連絡先をスマホにメモしておく
ネットバンキングアプリ活用のコツ
ネットバンキングやモバイルアプリを使いこなすと、支店に行かなくても残高確認や振込ができ、ベトナムでの生活が一気に楽になります。
銀行によっては、オンライン取引に対する手数料優遇やキャンペーンも多く、現金中心よりもコストを抑えやすい傾向があります。
アプリのログイン情報や二段階認証コードの扱いを丁寧に管理しておくことで、セキュリティを保ちながら便利さを享受できます。
どの銀行を選んだ場合でも、まずはアプリでよく使う機能に慣れることが、安心して口座を運用する近道です。
| 主な機能 | 残高照会や入出金履歴確認 |
|---|---|
| 支払い関連 | 振込や公共料金支払い、携帯チャージ |
| セキュリティ | 二段階認証や生体認証ログイン |
| 利便性 | 日本にいる家族への即時連絡がしやすい |
| メリット | 支店に行く回数を大きく減らせる |
海外送金や日本への資金移動のポイント
ベトナムの銀行口座から日本に資金を戻したい場合は、海外送金のルールや手数料構造を理解しておく必要があります。
銀行経由の海外送金は信頼性が高い一方で、手数料や為替レートのスプレッドが比較的大きくなりがちです。
Wiseなどのオンライン送金サービスを併用すると、総コストを抑えながら日本の口座への資金移動がしやすくなるケースもあります。
ただし、送金額や頻度が多くなる場合には、税務上の扱いや出所証明なども意識して、必要に応じて専門家に相談するのが安全です。
日常的な小口送金と将来の大きな資金移動では、最適な手段が変わることもあるため、早めに選択肢を比較しておくと安心です。
口座維持費用や手数料水準のイメージ
ベトナムの銀行口座は、一定条件を満たせば口座維持手数料が無料になることも多い一方で、条件を満たせないと毎月の維持費や各種手数料がかかることがあります。
日本の感覚で「普通預金は基本無料」と考えていると、知らないうちに小さな手数料が積み重なる可能性があるため注意が必要です。
銀行や口座種類によって手数料体系は異なるため、開設時にざっくりとした水準を確認し、自分の利用スタイルと合うかをチェックしておきましょう。
以下は、あくまでイメージをつかむための代表的な項目と水準感です。
| 口座維持手数料 | 一定残高以上で無料になるケースが多い |
|---|---|
| 国内振込手数料 | 同行間は低水準や無料、他行宛は数千VND程度が目安 |
| ATM引き出し手数料 | 同行ATMは無料か低水準、他行ATMは割高になる傾向 |
| 海外送金手数料 | 銀行経由はまとまったコストが発生しやすい |
| カード再発行手数料 | 紛失時などは一定額の負担が必要 |
ベトナムで銀行口座を開設して生活を安定させる考え方
ベトナムで銀行口座を開設するには、パスポートやビザなどの基本書類に加えて、現地住所や電話番号、場合によっては就労証明など、いくつかの条件をクリアする必要があります。
一見ハードルが高く感じられるかもしれませんが、滞在目的やビザの種類を整理し、必要書類を抜け漏れなくそろえれば、実際の手続き自体は数時間から数日で完了することがほとんどです。
VietcombankやTechcombank、BIDVといった主要銀行の特徴やデジタルサービスの違いを理解し、自分の生活圏や働き方に合った銀行を選ぶことが、日々のストレス軽減につながります。
口座開設後は、ATMやアプリの使い方、手数料水準、海外送金の選択肢などを早めに把握しておくことで、現地生活と日本との資金管理を安心して続けられます。
ベトナムでの暮らしが長くなるほど、銀行口座は単なるお金の出し入れだけでなく、クレジットや投資、将来の資産形成の入り口にもなるため、早い段階で自分に合った口座を整えておくことが大きな助けになります。

