物価が安く気候も温暖なベトナムは、日本人にとって人気の移住候補地です。
一方で、ビザの仕組みや永住権の条件が複雑で「実際どんな条件を満たせば移住できるのか」が分かりにくい国でもあります。
ここではベトナムに移住する条件を、ビザの種類や生活費の目安、仕事や家族帯同の要件などに分けて整理していきます。
長期滞在を目指す場合に必須となるビザや在留カードの条件を確認しながら、自分に合った移住ルートをイメージしてみてください。
ベトナムに移住する条件の全体像
まずは「ベトナム 移住 条件」というキーワードから、多くの人が知りたい全体像を整理していきます。
ベトナム移住の前提になる考え方
ベトナムに移住するうえで最も大事なのは「どのビザで長期滞在をするか」を最初に決めることです。
日本人は観光目的なら一定期間ビザなしで滞在できますが、仕事をしたり家族と住んだりするには別種のビザが必須になります。
またベトナムにはタイなどにあるリタイアメントビザがなく、年金や預金額だけで移住条件を満たすことはできません。
多くの場合「働く」「投資する」「学ぶ」「ベトナム人の家族がいる」といった具体的な理由が必要になります。
ベトナム移住に必要な主な条件の分類
ベトナム移住に必要な条件は、大きく分けて四つの軸で整理すると理解しやすくなります。
一つ目は適切なビザや在留資格を取得するための法的な条件です。
二つ目は家賃や食費、教育費などを賄うための経済的な条件です。
三つ目は仕事や事業、学業などの滞在目的に関する条件です。
四つ目は治安や医療、教育環境など生活面の条件で、自分や家族にとって無理のない環境を選ぶ必要があります。
短期滞在と長期滞在の違い
日本のパスポートを持つ人は、観光目的であれば45日間までビザなしでベトナムに滞在できます。
その後は一度出国してから90日間有効の電子ビザを取得する方法もありますが、これはあくまで短期滞在のための仕組みです。
長期移住を考える場合は、ビザなしや短期ビザの延長を繰り返すやり方にはリスクがあります。
入国管理の運用変更で急に条件が変わることもあるため、安定して住むには長期滞在向けのビザや在留カードの取得が重要になります。
長期移住のための代表的なルート
現実的にベトナムに移住して暮らしている外国人の多くは、いくつかの典型的なルートのいずれかを選択しています。
最も一般的なのは現地企業や日系企業で働き、就労ビザと労働許可証を取得するルートです。
次に多いのが現地法人を設立したり、既存の企業に投資したりして投資家ビザを取るルートです。
ほかにも大学や語学学校への留学、ベトナム人配偶者との結婚、専門家として招聘されるケースなどがあります。
ベトナム永住権というゴールイメージ
さらに長期的には「永住権」や「長期の在留カード」を取得することで、より安定した生活基盤を作ることもできます。
ベトナムの永住権は取得条件が厳しく、科学者や専門家、ベトナム人配偶者を持つ人など、限られた人だけが対象になります。
永住権がなくても、就労や投資を通じて複数年有効の一時在留カードを持ち続ければ、実務上は長期居住が可能です。
そのため多くの日本人にとっては「自分に合ったビザで長期滞在し続けること」が現実的な移住条件となります。
ベトナム移住で使えるビザの種類
ここではベトナム移住の条件の中核となる、ビザと在留資格の仕組みを整理します。
ビザ制度の大まかな仕組み
ベトナムのビザは目的別に多くの種類があり、ビザのアルファベット記号で目的が区分されています。
観光目的のDLビザ、ビジネス目的のDNビザ、就労目的のLDビザ、投資家向けのDTビザ、留学用のDHビザなどが代表的な種類です。
これらのビザは通常1カ月から1年程度の有効期間が設定され、更新や延長の可否はビザの種類と申請内容によって変わります。
さらに一定の条件を満たすと、一時在留カードとして複数年有効のカードを取得できる仕組みも用意されています。
長期滞在向けビザのタイプ
長期移住を目指すなら、短期観光ではなく長期滞在を前提としたビザを選ぶ必要があります。
代表的な長期滞在向けビザを一覧にすると、どのルートを選ぶべきかイメージしやすくなります。
それぞれのビザは、滞在目的や求められる条件が大きく異なる点に注意が必要です。
| ビザ種別 | 就労LDビザ |
|---|---|
| 主な目的 | 現地企業での雇用 |
| 滞在期間の目安 | 1〜2年 |
| 主な条件 | 雇用契約と労働許可証 |
| ビザ種別2 | 商用DNビザ |
| 主な目的2 | 出張や駐在準備 |
| 滞在期間の目安2 | 1〜12カ月 |
| ビザ種別3 | 投資DTビザ |
| 主な目的3 | 法人設立や投資 |
| 滞在期間の目安3 | 1〜5年 |
| ビザ種別4 | 留学DHビザ |
| 主な目的4 | 大学や語学学校 |
| 滞在期間の目安4 | 在学期間に連動 |
ビザ申請で求められる主な条件
ビザの種類ごとに必要書類は異なりますが、共通して求められる基本条件もあります。
特に就労系や投資系のビザでは、犯罪歴がないことやパスポートの残存期間などもチェックされます。
準備不足のまま申請すると、補足資料の要求や不許可リスクが高まる点に注意が必要です。
- 有効期限が十分に残っているパスポート
- 証明写真や申請フォーム
- 現地企業からの招聘状や雇用契約書
- 投資額や事業内容を示す書類
- 学歴や職歴を示す証明書類
- 無犯罪証明書や健康診断書
一時在留カードと永住権の位置づけ
ビザだけでなく、一定条件を満たした外国人には一時在留カードと呼ばれるカードが発行される場合があります。
一時在留カードは最長5年程度の有効期間を持ち、その期間中はビザ更新の手間を減らして生活できます。
さらに条件を満たす人は永住権を申請できますが、対象は専門家やベトナム人家族を持つ人などに限られています。
多くの移住希望者にとっては、まずは一時在留カードを取得できるビザを目指すのが現実的な目標になります。
資金計画と生活費の条件
続いて、ベトナムに移住する条件の中でも現実的なハードルとなる資金面と生活費の目安を確認します。
主要都市と地方の生活費の違い
ベトナムの生活費は日本と比べて安いものの、都市によって必要な金額は大きく変わります。
ホーチミンやハノイなどの大都市は家賃が高く、地方都市やリゾートエリアは比較的安価な傾向があります。
単身か家族帯同かによっても必要な生活費は変動するため、都市ごとのイメージを早めに掴んでおくと安心です。
| エリア | ホーチミン中心部 |
|---|---|
| 単身生活費 | 月10〜15万円程度 |
| 家族生活費 | 月18〜25万円程度 |
| エリア2 | ハノイ中心部 |
| 単身生活費2 | 月9〜14万円程度 |
| 家族生活費2 | 月17〜23万円程度 |
| エリア3 | 地方都市 |
| 単身生活費3 | 月7〜11万円程度 |
| 家族生活費3 | 月14〜20万円程度 |
移住前に用意したい貯蓄の目安
移住初年度は収入が安定しないことも多いため、当面の生活費をカバーできる貯蓄を用意しておくと安心です。
特に家族帯同の場合は、医療費や教育費、帰国用の航空券なども含めて余裕を持った資金計画が必要になります。
生活レベルやライフスタイルによって変動しますが、おおよその目安は次のように考える人が多くなっています。
- 単身者:生活費半年〜1年分程度の貯蓄
- 家族世帯:生活費1年〜2年分程度の貯蓄
- 起業や投資をする人:事業資金+生活費1年分
- 予備費:医療や一時帰国に備えた予備枠
現地収入と日本円収入の組み合わせ
ベトナム移住後の収入源としては、現地での給料所得と日本円建てのリモート収入の二本立てが理想的です。
現地給与は日本より低いことが多いため、日本円のオンライン収入があると生活の安定度が大きく高まります。
一方で為替レートの変動によって、日本円収入の価値が現地通貨ベトナムドンで見たときに上下するリスクもあります。
複数の収入源を組み合わせつつ、現地通貨での支出とのバランスを意識した資金計画を立てることが大切です。
保険と医療費の備え
ベトナムで生活する場合、日本の健康保険に加えて現地の民間医療保険への加入を検討する人も多くなっています。
日系クリニックや国際病院を利用すると日本語対応が受けられる一方で、診療費が高くつく傾向があります。
予算に応じてどのレベルの医療機関をメインに使うかを考え、必要な保険の補償額を決めると安心です。
移住条件として「十分な医療費の備えがあるか」を自分なりの基準で確認しておきましょう。
仕事や学びや家族から考える移住ルート
ここからは、具体的な移住ルートごとにどのような条件を満たす必要があるのかを見ていきます。
就労で移住する場合の条件
就労ルートでベトナムに移住する場合、現地企業や日系企業からの正式な雇用オファーが出発点になります。
雇用契約に基づいて就労ビザや労働許可証を申請するのが一般的な流れです。
専門職や管理職としての採用が多く、学歴や職歴、年齢などが条件として見られることもあります。
- 企業からの雇用契約書
- 職務内容に合った学歴や資格
- 一定以上の実務経験
- 無犯罪証明書や健康診断書
- 企業側の招聘状や必要書類
投資や起業で移住する場合の条件
投資家ビザや起業家向けのビザを活用する場合は、会社設立や出資額などの条件を満たす必要があります。
投資額が大きいほど長期のビザや在留カードを取得しやすくなる傾向がありますが、その分リスクも高まります。
自分の事業規模やリスク許容度に合った投資額とビザカテゴリーを選ぶことが重要です。
| 投資形態 | 小規模法人設立 |
|---|---|
| 目安投資額 | 数百万円程度 |
| 期待されるビザ | 短期〜中期の投資ビザ |
| 投資形態2 | 中規模以上の法人 |
| 目安投資額2 | 数千万円〜 |
| 期待されるビザ2 | 複数年有効の投資ビザ |
| 投資形態3 | 既存企業への出資 |
| 目安投資額3 | 契約により変動 |
| 期待されるビザ3 | 投資家としての在留資格 |
留学や語学習得を経由するルート
学生ビザでベトナムに滞在し、大学や語学学校に通いながら生活基盤を整えるルートもあります。
学内での人脈作りや、現地の言語や文化への適応に時間を使えるのがメリットです。
一方で学生ビザでは就労が制限されるため、学費と生活費を賄う資金計画が重要になります。
- 学校からの入学許可書
- 学費支払い能力の証明
- 一定水準の生活費の貯蓄
- 学生ビザの更新条件の理解
- 卒業後のビザ変更プラン
ベトナム人家族がいる場合の条件
ベトナム人と結婚している場合や、ベトナム人の子どもがいる場合は、家族ビザや永住権を申請できるケースがあります。
婚姻関係を証明する書類や、一定期間の同居実績などが条件になることもあります。
家族ルートは一見ハードルが低いように感じられますが、書類手続きや審査が慎重に行われる点に注意が必要です。
長期移住を前提とするなら、家族ビザで入国した後の在留カード取得や永住権の条件も併せて確認しておきましょう。
ベトナム移住を実現するための要点整理
ベトナムに移住する条件は、ビザや在留資格といった法的な枠組み、生活費や貯蓄といった経済面、仕事や投資などの滞在目的、家族や医療や教育といった生活環境の四つの軸で考えると整理しやすくなります。
特に重要なのは「どのビザカテゴリーで長期滞在を目指すか」を明確にし、そのビザに必要な条件を一つずつ満たしていくことです。
就労ビザや投資ビザ、学生ビザや家族ビザなどの特徴を理解し、自分のキャリアや資金状況、家族構成に合うルートを選びましょう。
同時に、都市ごとの生活費や医療環境、子どもの教育環境など、生活面の条件も冷静に比較検討することが欠かせません。
これらのポイントを押さえながら準備を進めれば、ベトナム移住は現実的で具体的な選択肢になり、長期的に安心して暮らしていける可能性が高まります。
