ベトナム料理はさっぱりとした味わいと豊富な野菜が魅力ですが、その象徴としてよく名前が挙がるのがパクチーです。
一方でパクチーの独特な香りが苦手で、ベトナム料理をためらっている人も少なくありません。
ここではベトナム料理でパクチーを楽しむコツや、苦手な人でも無理なく付き合うための工夫をわかりやすく解説します。
ベトナム料理でパクチーを楽しむコツ7選
このセクションでは、ベトナム料理を味わいながら少しずつパクチーに慣れていくための具体的なコツを7つ紹介します。
フォーで少量から香りに慣れる
ベトナム料理の定番であるフォーは、あっさりしたスープに米麺とハーブを合わせる優しい味わいの麺料理です。
多くの店ではパクチーがトッピングとして少量のっているだけなので、苦手な人は取り除きながら自分のペースで試すことができます。
まずは一口分の麺にほんの少しだけパクチーを絡めて食べ、香りの広がり方や後味をゆっくり確かめてみましょう。
スープの温かさが香りをマイルドにしてくれるため、生のままよりも抵抗感が少ないと感じる人も多いです。
生春巻きでパクチーを巻いて味を試す
生春巻きはライスペーパーでエビや野菜、ハーブを包むベトナム料理の人気メニューで、パクチーが少量入ることがよくあります。
自分で巻くスタイルの店や家庭で作る場合は、パクチーの量を一巻きごとに変えられるのが大きなメリットです。
最初はごく少量だけ一部に入れて巻き、他の具材と一緒に食べることで香りが強く出すぎるのを防げます。
ナンプラーや甘酸っぱいタレをつけると味の要素が増えるため、パクチーの存在感が穏やかになりチャレンジしやすくなります。
バインミーのパクチー量を自分好みに調整する
バインミーはフランスパンに具材とパクチーをたっぷり挟んだベトナム風サンドイッチで、日本でも専門店が増えています。
注文時に「パクチー少なめで」や「パクチー抜きで」と伝えると、好みに合わせて調整してくれる店が多いです。
少なめに入れてもらったバインミーを食べながら、途中でパクチーを足したり、取り除いたりして自分にとって心地よい量を探してみましょう。
パンや肉、ピクルスの味わいがしっかりしているため、パクチーが少量でも香りのアクセントとして十分に存在感を発揮します。
香草盛り合わせから好きな葉を見つける
現地の屋台やベトナム料理店では、パクチー以外にもミントやバジルなどの香草が盛り合わせで出されることがあります。
その中から自分が心地よいと感じる香りの葉を探し、パクチーと組み合わせて食べることで印象が柔らかくなる場合があります。
パクチー単体では強く感じた香りも、他の香草や野菜と一緒に口に運ぶと複雑なハーブの一部として受け止めやすくなります。
まずはミントやバジルなど馴染みのある香草をメインにし、パクチーは控えめに添えるイメージで試してみるとよいでしょう。
スープやタレにパクチーを浸して香りを和らげる
生のまま食べると強く感じるパクチーの香りも、温かいスープやタレに浸すことでいくぶんマイルドになります。
フォーのスープにパクチーを浸してから麺と一緒に食べると、香りがスープ全体に溶け込み角が取れた印象になります。
つけ麺スタイルのブンチャーなどでは、つけダレにパクチーを少しずつ加えることで、自分の好みに合わせて香りの強さをコントロールできます。
「香りを楽しみたいけれど主張しすぎてほしくない」と感じる人にとって、この方法は試しやすいアプローチです。
レモンやチリソースで味のバランスを整える
パクチーの青々とした香りは、レモンやライムの酸味、チリソースの辛味と組み合わせることでバランスが取りやすくなります。
テーブルに置かれているレモンや唐辛子、ニンニク入りの調味料を活用すると、香りの印象が分散して食べやすく感じることがあります。
特にフォーやブンのような麺料理では、酸味や辛味を足すだけで味の輪郭がはっきりし、パクチーも全体の一要素として馴染みやすくなります。
いきなりパクチーの量を増やすのではなく、調味料側を工夫してバランスを取るのも無理なく楽しむための大切なコツです。
別添えで注文して少しずつ増やしていく
パクチーにまだ自信がないときは、最初から料理に混ぜ込んでもらうのではなく、別添えで出してもらうのがおすすめです。
別皿で提供してもらえれば、一口ごとに入れる量を調整しながら、自分にとって心地よいラインを探ることができます。
「最初は少量から始めて、慣れてきたら少しずつ増やしていく」というステップを踏むことで、無理なくパクチーと付き合えるようになります。
旅先でも日本のベトナム料理店でも使える方法なので、注文時には遠慮せず希望を伝えてみましょう。
パクチーの香りと栄養の基礎知識
ここでは、そもそもパクチーがどんなハーブなのか、ベトナムでの位置づけや栄養面の特徴を整理していきます。
パクチーの正体とベトナムでの呼び方
パクチーはコリアンダーの葉の部分を指す呼び名で、香りの強いセリ科のハーブです。
ベトナムでは地域によって呼び方が異なり、南部ではンゴーリー、北部ではザウムイといった名前で親しまれています。
ベトナム料理では大量に混ぜ込む食材というより、料理の仕上げにひとつかみのせる薬味や飾りとして使われることが多いです。
そのため、パクチーが必ず大量に入っているわけではなく、トッピングとして添えられるスタイルの料理も少なくありません。
香りの特徴と好き嫌いが分かれる理由
パクチーの香りは人によって感じ方が大きく異なり、それが好き嫌いが分かれる大きな理由になっています。
- 柑橘を思わせる爽やかなニュアンス
- 石鹸のように感じる人もいる独特の香り
- 口の中から鼻へ抜ける清涼感
- 生で食べるか加熱するかによって変わる香りの強さ
遺伝的な要因や過去の食経験によって香りの印象が変わるとされており、同じ料理でも人によって「大好き」と「まったく無理」に分かれがちです。
パクチーに含まれる主な栄養素と期待できる働き
パクチーは香りだけでなく、ビタミンやミネラルを含むハーブとして、東南アジアの食文化を支えてきました。
| 成分 | ビタミンA |
|---|---|
| 働き | 粘膜や皮膚の健康維持を助けるとされる |
| その他の成分 | ビタミンCやカリウムなどのミネラル |
| 消化への影響 | 胃腸の働きをサポートすると言われる |
| 香り成分 | リナロールなどの精油成分 |
もちろん薬のように即効性を期待するものではありませんが、ベトナム料理では食後感を軽くする役割も含めて日常的に使われています。
ベトナム料理でのパクチーの役割
ベトナム料理におけるパクチーの役割は、香り付けと彩り、そしてさっぱり感の演出です。
フォーやバインミー、生春巻きなどの上に散らして使うことで、見た目に緑が加わり一気にエスニックな雰囲気が生まれます。
また魚醤ベースのタレや、ライムの酸味と合わせることで、香りが立体的になり食欲を刺激してくれます。
こうした背景を知ると、パクチーは主役ではなく、あくまで料理を引き立てる名脇役として位置づけられていることが見えてきます。
代表的なベトナム料理とパクチーの相性
ここでは、具体的なベトナム料理を取り上げながら、それぞれの料理とパクチーの相性や使われ方を整理していきます。
フォーに添えられるパクチーの役割
フォーは米麺とあっさりしたスープをベースに、牛肉や鶏肉、香草を合わせるベトナムを代表する麺料理です。
パクチーは主にトッピングとして使われ、他の香草と一緒に別皿で提供されるスタイルも一般的です。
香りを強く感じすぎるときは、パクチーを入れずにスープだけ味わい、途中から少しずつ加えていくと違いを楽しめます。
現地でも「抜きで」や「別添え」で対応してもらえる店が多いため、フォーはパクチーと上手に付き合う練習台としてもおすすめです。
バインミーに挟むパクチーの香り
バインミーはフランスパンにパテやチャーシュー、なます、野菜、そしてパクチーをたっぷり挟んだ、ボリューム満点のサンドイッチです。
さっぱりしたなますやハムの旨味に、パクチーの香りが加わることで、口の中が一気にベトナムらしい風味に変わります。
パンや具材の味がしっかりしているため、パクチーが多少多くても全体としてはバランスが取りやすいのが特徴です。
苦手な人はパクチー少なめで注文し、慣れてきたら徐々に増やしてもらうと、香りの変化を楽しみながらステップアップできます。
生春巻きと香草の組み合わせ
生春巻きは、ライスペーパーにエビや豚肉、野菜、ハーブを巻いて食べるヘルシーなベトナム料理です。
パクチーだけでなく、さまざまな香草が使われるため、香りのバランスを自分で調整しやすいのが魅力です。
- パクチー
- ミント
- バジル
- しそなどの香味野菜
- レタスやきゅうりなどの生野菜
パクチーの代わりにミントやバジルを多めにし、パクチーはほんの少しだけ混ぜるようにすると、香りの角が取れて食べやすく感じる人が多いです。
パクチー少なめで楽しめるベトナム料理の例
パクチーの香りに自信がない人でも比較的トライしやすいベトナム料理はいくつかあります。
| 料理名 | ブンチャー |
|---|---|
| パクチーの使われ方 | 香草盛り合わせに少量添えられる程度 |
| パクチーなしでも楽しめる料理 | コムタムや揚げ春巻きなど具材とタレが主役の料理 |
| 注文時のポイント | パクチー抜きや別皿でと伝えると調整しやすい |
こうした料理から試していけば、パクチーをほとんど使わなくてもベトナム料理の世界観を十分に味わうことができます。
パクチーが苦手な人でもベトナム料理を楽しむコツ
このセクションでは、パクチーが苦手な人が外食や旅行、自炊の場面でベトナム料理を楽しむための工夫を具体的に紹介します。
注文時に伝えたいフレーズ
パクチーが心配なときは、注文時のひと言でかなり状況をコントロールできます。
日本のベトナム料理店では「パクチー抜きでお願いします」や「パクチーは別皿にしてください」と伝えると、丁寧に対応してくれる店が多いです。
現地のベトナム語では、地域によって呼び方は変わりますが、「パクチーを入れないでほしい」というニュアンスを伝える表現を覚えておくと安心です。
- パクチー抜きでと伝える
- 香草を別皿でとお願いする
- 辛さやニンニクも控えめにしてもらう
あらかじめ一言添えるだけで、後から食べられずに残してしまうストレスも減り、食事をよりリラックスして楽しめます。
日本のベトナム料理店でできる工夫
日本のベトナム料理店では、パクチーの量やトッピングを柔軟に調整してくれるお店が増えています。
メニューに「パクチー大盛り」や「パクチー抜き」などの表記がある場合は、そこから自分に合う選択肢を選ぶとスムーズです。
表記がない場合でも、苦手なことを正直に伝えれば、別皿で出してくれたり、代わりにネギや大葉を多めにしてくれたりすることがあります。
友人や家族にパクチー好きがいるなら、別皿でもらった分をシェアするという形で無駄なく楽しむのもよい方法です。
自炊でベトナム料理を作るときのパクチー調整
自宅でフォーや生春巻きなどのベトナム料理を作る場合は、パクチーの量や加え方を自在にコントロールできます。
| 料理 | フォー |
|---|---|
| パクチー量の目安 | 仕上げにひとつかみ程度からスタートする |
| 減らしたい場合 | 万能ねぎや三つ葉を多めにして代わりに使う |
| 香りを和らげる工夫 | スープに軽く浸してからトッピングする |
完全に入れない日と少量だけ試す日を交互に作るなど、無理のないペースで慣れていくのも一つの選択肢です。
パクチー以外の香草でベトナムらしさを残す
どうしてもパクチーが難しい場合でも、他の香草を上手に使えばベトナムらしい雰囲気は十分に演出できます。
ミントやバジル、大葉などは比較的なじみがあり、日本人にも受け入れられやすい香りです。
これらの香草をメインにして、パクチーはあえて使わずに料理を組み立てると、エスニック感は残しつつストレスなく食事を楽しめます。
「パクチーが食べられないからベトナム料理は無理」と決めつけず、香草全体の中から自分に合う組み合わせを見つける視点を持つことが大切です。
ベトナム料理とパクチーの関係を知って自由に選ぶ
ベトナム料理は必ずしもパクチーまみれではなく、トッピングとして少量添えられるだけの料理も多く存在します。
パクチーの正体やベトナムでの使われ方、代表的な料理との相性、そして苦手な人向けの工夫を知っておけば、自分なりの距離感で付き合っていくことができます。
パクチーをたっぷり楽しむのも、ほとんど使わずにベトナム料理の世界を味わうのもどちらも正解なので、好みと体調に合わせて無理のないスタイルを選んでいきましょう。

