ベトナムの物価と給料の関係は、日本と比べると大きなギャップがあります。
しかし単純に「給料が安い=生活が苦しい」とは言い切れず、物価や生活スタイルとセットで考える必要があります。
この記事では、ベトナムの物価と給料の水準を整理し、日本人が現地で暮らしたり働いたりするうえでの目安をわかりやすく整理します。
旅行者だけでなく、移住や現地採用、駐在を検討している人にとっても、生活費や給料の感覚を具体的にイメージできるようになることを目指します。
ベトナムの物価と給料のリアル事情
ここでは、ベトナムの物価と給料の大まかな関係性をつかみ、日本との違いをざっくりイメージできるようにします。
平均月収のイメージ
ベトナム人労働者の平均月収は、おおよそ700万ドン前後とされ、日本円では約4万〜4万5,000円ほどになります。
統計の取り方によってばらつきがありますが、2024年時点の1人当たり月間平均所得は約542万ドンというデータもあり、全国平均としては3万円台前半という水準です。
いずれにしても、日本の平均月収と比べると大きな差がある一方で、現地の生活費も相応に抑えられているのがポイントです。
この「給料は低いが物価も安い」という構造を理解しておくと、金額だけで判断せずに生活レベルをイメージしやすくなります。
都市部と地方の違い
ハノイやホーチミンなどの大都市では平均月収が高く、地方都市や農村部では収入が大きく下がる傾向があります。
たとえば都市部の平均月収は700万ドン前後でも、地方部では250万〜300万ドン前後というデータもあり、同じ国内でも生活水準に大きな差があります。
物価も都市部の方が高くなりやすいものの、家賃や外食の価格差に比べて、給料の差の方が大きいケースも少なくありません。
都市部で働けば収入は増えますが、その分生活コストも上がるので、どのエリアで暮らすかで「余裕度」はかなり変わってきます。
物価上昇と賃金アップ
ベトナムではここ数年、最低賃金の引き上げや平均賃金の伸びが続いており、賃金は毎年数パーセント単位で増加している傾向があります。
一方で、インフレや経済成長の影響で物価も上昇しており、数年前と比べると「思ったほど安くない」と感じる日本人も増えています。
とくに都市部の家賃や外資系スーパーの商品は、数年前よりもじわじわ値上がりしています。
とはいえ、ローカルな屋台や市場をうまく利用すれば、依然として日本の半分以下の生活費で暮らすことは十分可能です。
日本との収入ギャップ
日本の平均年収は400万円台とされるのに対し、ベトナムの平均年収は50万円前後というデータもあり、その差はおおよそ7〜8倍と言われます。
この収入ギャップは、日系企業や外資系企業で働くベトナム人が日本での就労を希望する大きな理由にもなっています。
逆に日本人がベトナムで働く場合、円建ての給料や日本本社基準の給与体系であれば、現地では「高所得者層」に近い生活レベルを実現しやすくなります。
ローカル採用で現地水準の給与をもらう場合は、収入と生活費のバランスを慎重に見極めることが重要です。
日本との物価差のざっくり比較
ベトナムの物価は全体的に日本の約2分の1〜3分の1程度とよく言われますが、これは特に食費やローカルサービスに当てはまります。
一方で、輸入品や外資系スーパーの商品、日系チェーンのレストランなどは、日本とあまり変わらない価格帯のものも増えています。
家賃もローカルアパートであれば日本よりかなり安く、都市部の1K相当の部屋でも日本の主要都市より低い水準に収まるケースが一般的です。
「何をどこで買うか」によって体感物価は大きく変わるため、自分の生活スタイルをイメージしながら比較することが大切です。
円換算で見るときの注意点
ベトナムドンを円に換算するときは、為替レートの変動に注意が必要です。
同じ700万ドンでも、1ドンあたりのレートが変われば日本円での見え方は大きく変わります。
また、現地での生活はベトナムドン建てで完結するため、現地の物価水準と収入のバランスを見る方が生活のリアルをつかみやすくなります。
「円に直すといくらか」だけでなく、「現地でどれだけの生活ができるのか」という視点を持っておくと判断を誤りにくくなります。
ベトナムの物価水準の特徴
ここでは、ベトナムの日常的な物価を「食費」「住居費」「交通費」「サービス費」などに分けて、具体的な金額イメージを整理します。
日常の食費の目安
ベトナムのローカルフードは非常にリーズナブルで、屋台やローカル食堂であれば1食100〜300円前後でお腹いっぱい食べられます。
観光客向けレストランや日本食レストランでは1,000円前後になることもありますが、日本の感覚からするとまだ割安に感じる価格帯です。
自炊を中心にしつつ、ローカルフードをうまく組み合わせれば、月の食費をかなり抑えることができます。
- 屋台のフォー一杯の目安
- バインミーサンドイッチの目安
- ローカル食堂の日替わり定食の目安
- カフェのベトナムコーヒーの目安
- 中級レストランでの夕食の目安
住居費の水準
住居費はエリアや物件タイプによる差が大きく、生活コストを左右する最大の要素の一つです。
ローカル向けアパートは比較的安価ですが、日本語対応のサービスアパートや新築コンドミニアムを選ぶと、家賃は一気に上がります。
以下は代表的な住居タイプと家賃目安の一例です。
| 住居タイプ | ローカルアパート |
|---|---|
| 月額家賃の目安 | 3万円〜6万円相当 |
| エリアの例 | ホーチミン郊外や地方都市 |
| 設備の特徴 | 最低限の家具とエアコン |
| 水道光熱費の目安 | 5,000円前後 |
交通費と移動スタイル
都市部ではGrabなどの配車アプリが非常に発達しており、バイクタクシーであれば数キロの移動でも数百円程度で利用できます。
市内バスはさらに安く、数十円〜100円前後で移動できるため、うまく使えば交通費はかなり抑えられます。
長距離移動ではLCCの国内線や長距離バスも発達しており、旅行を含めた移動コストも日本より割安なケースが多いです。
一方で、自家用車保有は税金や駐車場代の負担が大きく、一般的なローカル層にとってはまだハードルが高いのが現状です。
日用品とサービスの価格感
スーパーで売られている日用品は、ローカルブランドであればかなり安価ですが、輸入品や日系ブランドは日本と同等かそれ以上の価格になることもあります。
美容室やマッサージなどのサービスは、ローカル店なら日本の半額以下で受けられることが多く、日常的に利用しやすい価格帯です。
携帯電話の通信費やインターネット料金も、日本より安い水準に収まるケースが一般的です。
- ローカルスーパーの日用品価格感
- 輸入食品や酒類の価格感
- ヘアカット料金の目安
- マッサージ1時間の目安
- モバイル通信の月額料金の目安
ベトナムの給料水準と職種別の傾向
ここでは、ベトナムの平均年収や最低賃金、職種による給料の差を整理し、「どのくらい稼げばどの程度の生活ができるのか」をイメージできるようにします。
平均年収と都市部の水準
ベトナム全体の平均年収は約4,800万ドン前後とされ、日本円にすると30万〜35万円程度というデータもあります。
一方で、ハノイやホーチミンなどの大都市では平均月収が700万ドン前後とされ、地方部よりも収入水準が高い傾向があります。
日本の平均年収と比べると大きな差がありますが、現地の物価水準を考えると、国内における相対的な生活レベルは収入だけでは判断できません。
都市部で働く高所得層と地方部の低所得層の格差が広がっている点も、ベトナムの特徴の一つです。
| エリア | 全国平均 |
|---|---|
| 平均月収目安 | 約500万〜700万ドン |
| 都市部の例 | ハノイ・ホーチミン |
| 地方部の例 | 農村部や中小都市 |
| 備考 | 都市部と地方で大きな賃金格差 |
日系企業で働く場合の給料
日系企業で働くベトナム人の平均月収は、約660万ドン前後という調査結果もあり、ローカル企業よりやや高い水準とされます。
管理職や専門職に昇進すると、月収1,000万ドン以上を得る人も増えており、外資系企業やIT企業ではさらに高い給与水準が期待できます。
日本人が現地採用で働く場合も、このレンジを基準にしつつ、日本語スキルや専門性に応じて上乗せがあるかどうかが交渉のポイントになります。
駐在員として派遣される場合は、日本本社基準の給与に加え、住宅手当や海外勤務手当がつくことが多く、現地ではかなり余裕のある生活が可能です。
地域別最低賃金の目安
ベトナムでは地域ごとに最低賃金が定められており、2024年時点では第1地域で月額496万ドン、第4地域で345万ドンといった水準になっています。
2026年1月からは、地域別の最低賃金が約7%引き上げられ、月額370万〜531万ドンのレンジに移行する予定です。
最低賃金はあくまで「これ以下にしてはならない基準」であり、実際の給与は企業や職種によって大きく異なります。
ただし、ローカル企業の低賃金職では、この最低賃金に近い水準で働いている人も少なくありません。
| 地域区分 | 第1地域 |
|---|---|
| 月額最低賃金 | 約496万ドン→約531万ドン |
| 代表エリア | ハノイ・ホーチミン都市部 |
| 最低賃金の役割 | 賃金交渉の基準 |
| 留意点 | 職種や企業で実際の賃金は大きく変動 |
賃金上昇とキャリアの関係
ベトナムでは、平均して年6〜8%程度の賃金上昇率が続いていると言われ、若い労働力と経済成長が背景にあります。
特にホワイトカラー職や管理職では昇進による賃金アップ幅が大きく、英語力や専門スキルの有無が年収に直結しやすい環境です。
一方で、単純労働に従事する層では最低賃金近辺の水準から大きく伸ばしにくく、職種間の格差も課題となっています。
キャリアアップを前提にした都市部への移住が増えていることも、ベトナムの労働市場の特徴と言えます。
- 年6〜8%前後の賃金上昇傾向
- 管理職や専門職は昇給幅が大きい
- 最低賃金付近の職種では伸びにくい
- 都市部への人材流入が続く
- 語学力や専門性が収入格差の要因
ベトナムで暮らす生活費の目安
ここでは、単身者や家族がベトナムで生活する場合の生活費モデルを紹介し、「月いくらあればどの程度の暮らしができるのか」を整理します。
単身者の生活費モデル
ホーチミンやハノイでローカル寄りの生活をする単身者の場合、月の生活費はおおよそ5万〜10万円程度が一つの目安になります。
ローカルアパートに住み、屋台やローカル食堂を中心に食事を取れば、下限に近い水準で暮らすことも可能です。
反対に、日本並みの設備のコンドミニアムや、日本食レストランを頻繁に利用する生活スタイルを選ぶと、上限に近い水準まで生活費が膨らみます。
| 費目 | 家賃 |
|---|---|
| 月額目安 | 3万〜6万円相当 |
| 光熱費・通信費 | 5,000円〜1万円相当 |
| 食費 | 2万〜3万円相当 |
| 交通費・娯楽費 | 1万〜2万円相当 |
家族世帯の生活費モデル
夫婦と子ども1〜2人の家族世帯の場合、住居のグレードや子どもの教育費によって生活費は大きく変わります。
ローカル寄りのアパートと現地校を選べば、月10万〜15万円程度でも生活は可能ですが、インターナショナルスクールに通わせると学費だけで日本並みかそれ以上になることもあります。
駐在員家庭では、家賃や学費の多くが会社負担となるケースが多く、その分生活のゆとりが生まれやすくなります。
一方で、現地採用で家族を養う場合は、給料と生活費のバランスを慎重に計算しておく必要があります。
都市部と地方の生活費レンジ
都市部の生活費は地方に比べて高いものの、日本と比べると依然として抑えられた水準にあります。
統計や移住者の体験談から見ると、都市部の月間生活費は約4万5,000〜10万円、地方では2万5,000〜5万円程度が一つのレンジとして示されています。
地方移住を選べば生活コストは大幅に下がりますが、給与水準や仕事の選択肢も限られる点は注意が必要です。
自分が重視するのが「収入」なのか「生活コスト」なのかによって、選ぶべきエリアは変わってきます。
- 都市部は仕事が多く生活費も高い
- 地方は生活費が安く仕事が限られる
- 子どもの教育環境の差が大きい
- 医療機関の充実度にも差がある
- ライフスタイルに合うエリア選びが重要
旅行者目線の予算感
旅行者としてベトナムを訪れる場合、1日あたりの予算感は日本よりかなり抑えやすくなります。
ローカルフード中心でゲストハウスに泊まる節約旅行であれば、1日3,000〜5,000円程度の予算で十分に楽しめるケースもあります。
中級ホテルに泊まり、カフェやマッサージも楽しむ「ちょっといい旅」をしても、1日8,000〜1万円前後に収まることが多いです。
ハイエンドホテルや高級レストランを組み合わせれば当然出費は増えますが、それでも日本や欧米の都市と比べればコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
ベトナムで働く際に意識したいポイント
ここでは、日本人がベトナムで働く場合に、給料や物価をどう捉え、どのように交渉や生活設計をしていくべきかの考え方を整理します。
給与オファーを見るときの基準
ベトナムでの給与オファーを見る際は、「額面の金額」だけでなく、家賃補助や保険、賞与などの条件を含めたトータルパッケージで判断することが重要です。
同じ月収でも、会社負担の範囲によって実際の「可処分所得」は大きく変わります。
以下のような項目を整理して比較すると、オファーの良し悪しが見えやすくなります。
| 項目 | 基本給 |
|---|---|
| 住居サポート | 家賃補助や社宅の有無 |
| ボーナス | テト賞与などの支給有無 |
| 保険・福利厚生 | 医療保険や送迎の有無 |
| 昇給の目安 | 年率や評価制度の有無 |
生活費と貯金のバランス
日本からベトナムに移ると、生活費が下がる分、うまくやりくりすれば貯金に回せるお金を増やしやすくなります。
一方で、外食やマッサージ、週末旅行など「日本より安いから」と油断していると、意外と支出が膨らんでしまうこともあります。
毎月の固定費と変動費をざっくり把握し、「これ以上は使わない」というラインを決めておくと安心です。
円ベースでの貯蓄目標も決めておくと、為替変動の中でも迷いにくくなります。
雇用形態による違い
日本人の雇用形態には、現地採用と駐在員の大きく二つがあり、給料や福利厚生には大きな差があります。
現地採用は、現地水準に近い給与レンジになる一方で、自由度が高く転職もしやすいのが特徴です。
駐在員は、給与や福利厚生が手厚い代わりに、異動や任期、会社都合の制約が大きくなりがちです。
- 現地採用は給与は抑えめで自由度が高い
- 駐在員は待遇が厚く会社都合が強い
- フリーランスやリモートワーカーという選択肢もある
- 家族帯同か単身赴任かで必要な給料が変わる
- 将来のキャリアパスを含めて雇用形態を選ぶ
物価上昇リスクへの備え
ベトナムの物価や給料は今後も上昇が続くと予想されており、長期滞在を考えるならインフレリスクを意識しておく必要があります。
現地通貨だけでなく、円やドル建ての資産もバランスよく持つことで、為替リスクやインフレリスクを分散しやすくなります。
給与交渉の際には、毎年の昇給率や評価制度についても確認しておくと安心です。
長期的な視点で「何年後にどれくらいの生活水準を目指すか」をイメージしながら、キャリアとマネープランを組み立てていきましょう。
ベトナムの物価と給料を理解して賢く暮らすコツ
ベトナムの物価と給料は、日本と比べると大きな差がありますが、単純な金額比較だけでは生活のリアルは見えてきません。
平均年収や最低賃金、都市部と地方の格差といったマクロな数字を押さえつつ、自分が実際に送りたい生活スタイルと必要な生活費を具体的にイメージすることが大切です。
また、給与オファーを見る際には、額面だけでなく家賃補助や保険、ボーナスなどを含めたトータルパッケージで判断し、物価上昇リスクや為替変動も視野に入れておきましょう。
ベトナムの「物価の安さ」を味方につけながら、自分に合った働き方と暮らし方を選択できれば、日本とは違う豊かさを感じられるはずです。
