ベトナム語の資料やWebページを作るときに、どのフォントを選べばよいのか迷う人は少なくありません。
アルファベットに複数の声調記号が重なるベトナム語は、フォント選びを間違えると文字化けや読みにくさが起きやすくなります。
ここではベトナム語のフォントを選ぶときに知っておきたい基礎と、Web制作や資料作成で役立つおすすめフォントや設定のポイントを整理します。
ベトナム語のフォントを選ぶときに知っておきたいポイント
最初にベトナム語の文字の特徴と、フォント側でどのような対応が必要なのかを押さえておくと、後の選定作業がぐっと楽になります。
標準搭載フォントで対応できるケースと、Google Fontsなど外部フォントを組み合わせるケースの違いもここで整理しておきましょう。
ベトナム語の文字の特徴
ベトナム語はラテン文字をベースにしながら、母音の上や下に声調記号やフックなどが付く拡張ラテン文字を多用する言語です。
母音に帽子のような記号が付いたâやê、丸い記号が付いたơやư、横線付きのđなど、アルファベット自体の形が変化する文字も含まれます。
さらに声調を表す記号が母音の上に重なり、場合によっては一文字に二つの記号が載るため、フォントの設計によっては記号同士がぶつかって読みにくくなることがあります。
こうした拡張ラテン文字がきちんと設計されているかどうかが、ベトナム語対応フォントを見極めるうえでの大きなポイントになります。
ベトナム語フォントで起こりやすい問題
ベトナム語に対応していないフォントを使うと、拡張ラテン文字だけが別フォントに切り替わるため、単語の中で一部の文字だけ雰囲気が違うという不自然な表示になります。
最悪の場合は四角い「豆腐」のような記号に置き換わったり、声調記号の位置がずれて母音と重なり読めなくなったりすることもあります。
また古いVNI系フォントや独自エンコーディングのフォントを使ったデータを、Unicode環境で開いたときに文字化けが起こるケースも少なくありません。
どの環境でも同じように表示させるためには、Unicodeにきちんと対応したフォントを選び、文字コードもUTF-8で統一しておくことが重要です。
標準フォントでベトナム語に対応しているもの
WindowsやMacにはベトナム語を含む拡張ラテン文字に対応した欧文フォントがいくつか標準で搭載されています。
これらを選んでおけば、特別なインストールを行わなくても基本的なベトナム語表示には対応しやすくなります。
- Times New Roman
- Arial
- Tahoma
- Verdana
- Clarimo UD PEなどの多言語対応欧文フォント
WordやPowerPointで簡単なベトナム語文書を作るだけなら、まずはこれらの標準フォントを使って表示が崩れないかを確認するとよいでしょう。
DTP用途ではモリサワなどの多言語対応フォントパックにもベトナム語対応の欧文書体が用意されているため、印刷品質を重視するときにはそのような書体も候補になります。
デザインに使いやすい無料ベトナム語フォント
Webデザインやバナー制作で使うフォントは、Google Fontsなどの無料サービスからベトナム語対応のものを選ぶのが手軽です。
多くのフォントがOpen Font Licenseなどのライセンスで公開されており、商用利用でも追加費用なしで使えるのが魅力です。
- Be Vietnam Pro
- Noto Sans Vietnamese
- Inter
- Roboto
- Montserrat
- Source Sans 3
- Dosis
これらのフォントはベトナム語の声調記号を前提に設計されているため、アクセントの重なり方やバランスが自然で、長文でも読みやすいデザインになっています。
UIやWebアプリ向けにはInterやSource Sans系、テキスト主体のサイトにはBe Vietnam ProやNoto Sans系を選ぶと、安定した読みやすさを確保しやすくなります。
商用利用で注意したいライセンス
ベトナム語対応フォントには、完全無料で商用利用まで可能なものと、個人利用のみ許可されているものが混在しています。
企業サイトやクライアント案件で使う場合は、フォント配布元のライセンス表記を必ず読んでから導入しましょう。
- 商用利用の可否
- Webフォントとしての組み込みの可否
- アプリや電子書籍への同梱の可否
- 改変や再配布に関する条件
Google Fontsや一部のオープンソースフォントは商用利用やWebフォントへの組み込みに寛容なライセンスが多いので、まずはその中から候補を探すと安心です。
個人制作のバナーで見つけた素敵なフォントを、そのまま企業案件に流用するのはリスクがあるため、案件ごとに使用許諾を確認する習慣を持つようにしましょう。
日本語とベトナム語を同時に扱うデザインの考え方
日本語とベトナム語を同じ紙面や画面で扱う場合、文字サイズや字幅のバランスが崩れやすいのでフォントの組み合わせに工夫が必要です。
基本的には日本語側をNoto Sansや源ノ角ゴシックなどの汎用ゴシック体にし、ベトナム語側も余計な装飾の少ないサンセリフ系で合わせると、全体のトーンを揃えやすくなります。
| 日本語フォント | Noto Sans JP |
|---|---|
| ベトナム語フォント | Be Vietnam Pro |
| 用途 | 情報量の多いWebページ |
| 別の組み合わせ | 源ノ角ゴシックとInter |
| 見出し向き組み合わせ | 日本語太めゴシックとMontserrat |
日本語側が明朝体の場合は、ベトナム語側も細めのセリフ系フォントを選ぶと雰囲気が揃いやすくなります。
どうしても揃わない場合は、日本語とベトナム語でフォントサイズや行間を微調整し、見た目の高さが近づくように調整していくと読みやすさが向上します。
Webサイトでベトナム語のフォントを指定するときの考え方
Webサイトでベトナム語を扱う場合は、CSSでのfont-family指定とWebフォントの読み込み方法が表示品質を大きく左右します。
Google Fontsなどのサービスを使うときも、ベトナム語のサブセットを意識しながら設計すると、読み込み速度と品質の両方を確保しやすくなります。
CSSでのfont-familyの組み立て方
CSSではベトナム語対応フォントを先頭に、その後に汎用的な欧文フォントとフォールバック用のsans-serifを続ける形で指定するのが基本です。
日本語も同時に表示する場合は、日本語フォントとベトナム語フォントの両方をfont-familyに含めたうえで、表示優先度を考えて順番を調整します。
| 用途 | ベトナム語中心の本文 |
|---|---|
| 推奨font-family例 | “Be Vietnam Pro”, “Noto Sans”, Arial, sans-serif |
| 多言語サイト | “Noto Sans JP”, “Be Vietnam Pro”, sans-serif |
| 欧文中心サイト | Inter, “Noto Sans”, Arial, sans-serif |
| 簡易指定 | Arial, sans-serif |
モバイルでの表示も考えるときは、システムフォントだけで完結させるパターンと、Webフォント合わせのパターンを比較しながら、読み込み速度と見た目のバランスを取るとよいでしょう。
CSSの指定が複雑になりすぎると管理が難しくなるため、最初は用途ごとに一つか二つのfont-familyパターンを決めて、サイト全体で共通化しておくのがおすすめです。
Google Fontsでベトナム語を表示するときのコツ
Google Fontsでは、フォント詳細ページの言語対応欄でVietnameseにチェックが入っている書体を選ぶことで、ベトナム語の声調記号まで含めた表示が可能になります。
読みやすさを重視する場合は、ストロークが素直でxハイトが高めのサンセリフ系フォントを選ぶと、小さい文字サイズでも視認性を確保しやすくなります。
- 言語フィルターでVietnamese対応を選択
- RegularとBoldなど必要なウェイトだけを読み込む
- displayスワップ設定で描画の遅れを軽減
- 日本語側は別のフォントファミリーで指定
ベトナム語だけでなく英語やフランス語も混在するサイトでは、LatinとVietnameseの両方に対応したフォントを選ぶと、見た目の統一感が高まりやすくなります。
ブログやメディアサイトなどテキスト量が多い場面では、Noto Sans系やInterのように長文向きに設計されたフォントが特に扱いやすく感じられるでしょう。
読み込み速度とパフォーマンスへの配慮
ベトナム語対応フォントは文字セットが増えるぶんファイルサイズも大きくなりがちなので、読み込み速度への配慮も欠かせません。
必要以上に多くのウェイトを読み込むとページの初回表示が重くなるため、実際に使う太さだけを選んで読み込むようにしましょう。
Webフォントの読み込みで表示が遅れるときは、font-displayプロパティでswapやfallbackを指定しておくと、システムフォントで先に文字を表示してからWebフォントに切り替えることができます。
画像で文字を埋め込む方法は手軽ですが、多言語サイトでは保守性が下がりやすいため、基本的にはテキストとWebフォントの組み合わせで表現する方向を優先しましょう。
WordやPowerPointでベトナム語フォントを使うときのポイント
ビジネス文書やプレゼン資料でベトナム語を扱う場合は、OSの言語設定とアプリ側のフォント指定を合わせて考える必要があります。
ここではWindows環境を中心に、WordやPowerPointでの実務的なポイントを整理します。
Windowsでベトナム語を表示する準備
Windowsでベトナム語を正しく表示したり入力したりするには、言語の追加やフォントのインストールが必要になる場合があります。
まずは設定アプリからベトナム語の表示言語やキーボードレイアウトを追加し、システム側でベトナム語の文字サポートを有効化しましょう。
- 設定アプリからベトナム語を言語に追加
- ベトナム語キーボードレイアウトを有効化
- フォント一覧でベトナム語対応フォントを確認
- ブラウザやOfficeを再起動して反映を確認
一部の行政資料などではVNI Timesなど特定フォントが前提になっていることもあるため、その場合は指定フォントも合わせてインストールしておくと安心です。
異なるPC間でデータをやり取りするときは、相手の環境にも同じフォントが入っているかを確認し、必要に応じてPDFに書き出して配布する方法も検討しましょう。
Wordでおすすめのベトナム語フォント
Wordでベトナム語文書を作成するときは、表示環境の差を考慮して標準的な欧文フォントをベースに選ぶのが安全です。
本文と見出し用でフォントを分けるときも、ベトナム語の声調記号がつぶれないかを確認しながら選定します。
| 用途 | 本文用 |
|---|---|
| 推奨フォント | Times New Roman |
| 別候補 | Arial |
| 見出し用 | 太めのArialやVerdana |
| 多言語文書 | 日本語はメイリオとしつつ、ベトナム語部分をTimes New Romanに指定 |
フォントを変えたときには、đやă、ấなどアクセント付きの文字が崩れていないかを必ず目視で確認しましょう。
長い文書では、印刷プレビューやPDF出力も確認し、紙に出したときでも声調記号がはっきり読めるかをチェックしておくと安心です。
PowerPointやPDFで文字化けを避ける方法
PowerPointでベトナム語を使うときは、プレゼン先のPCに同じフォントが入っていないと文字化けするリスクがあります。
フォント埋め込み機能を使って保存するか、発表用にはPDFに書き出してから配布するのが安全です。
- PowerPointのオプションでフォント埋め込みを有効化
- 発表用データはPDFでも出力
- 拡大表示したときの見やすさも事前に確認
- フォント数を絞ってレイアウトをシンプルに保つ
画面サイズによっては声調記号が小さくつぶれてしまうことがあるため、ベトナム語のテキストはやや大きめのフォントサイズを心がけると視認性が高まります。
特に数字や固有名詞が多いスライドでは、フォントの切り替わりがないかどうかをスライドショーモードで確認しておくとよいでしょう。
読みやすいベトナム語デザインを作るタイポグラフィのコツ
ベトナム語を美しく読みやすく見せるには、フォント選びだけでなく行間やサイズなどのタイポグラフィ全体の設計が重要になります。
ここではWebと印刷のどちらにも共通する基本的な考え方を整理します。
声調記号のバランスを意識したフォント選び
ベトナム語の読みやすさを左右する大きな要素が、声調記号と母音とのバランスです。
フォントによっては記号が小さすぎたり、母音と重なったりしてしまい、長文を読むときの疲れやすさに直結します。
| 確認ポイント | 声調記号のサイズ |
|---|---|
| 目安 | 母音と比べて十分な大きさがある |
| 確認ポイント | 記号の位置 |
| 目安 | 母音と重ならず一定の余白がある |
| 確認ポイント | 複数記号の重なり |
| 目安 | 二つの記号が判別しやすい配置になっている |
特に帽子付きの母音と上付きの声調記号が重なる文字は、フォントごとの差が出やすい箇所なので、サンプルテキストで比較してから採用するのがおすすめです。
見出し用に装飾的なフォントを使う場合も、声調記号だけは崩れていないかを丁寧にチェックしておきましょう。
本文と見出しでフォントを使い分ける
ベトナム語の長文を読みやすくするには、本文用と見出し用で役割を分けてフォントを選ぶとレイアウトが安定します。
本文は癖の少ないサンセリフかセリフ体、見出しは少し太めで骨格がはっきりしたフォントを選ぶと、情報の階層が視覚的に整理されます。
- 本文には癖の少ないサンセリフ系フォントを選ぶ
- 見出しには太めのウェイトを使う
- フォントの種類は二系統までに絞る
- イタリックやスモールキャップはアクセント程度に使う
日本語とベトナム語が混在する文書では、日本語側のフォントウエイトとベトナム語側のウエイトを近づけると自然なバランスになります。
見出しだけ別フォントにする場合でも、ストロークの太さや文字の高さがあまり極端に違わない組み合わせを選ぶと全体が落ち着いて見えます。
行間と文字サイズの設定の目安
ベトナム語は上方向の記号が多いので、行間が狭すぎると上下の行の記号が重なり読みにくくなります。
本文の文字サイズと行間は、英語よりもやや広めを意識して設定すると読みやすさが向上します。
- 本文サイズの目安は12ポイント前後
- 行間はフォントサイズの1.4倍から1.6倍
- スマートフォンでは一段階大きめのサイズを検討
- 見出しは本文より2ポイント以上大きく設定
特にスマートフォンでベトナム語を読む場合、画面の解像度や表示倍率によって声調記号がつぶれやすいので、実機でのテスト表示は必須です。
行長も長くなりすぎると目線の移動距離が増えて読みづらくなるため、横幅の制御とあわせてタイポグラフィ全体のバランスを整えていきましょう。
ベトナム語フォントと文字コードの基礎知識
フォント選びと同じくらい重要なのが、ベトナム語テキストをどの文字コードで扱うかという設計です。
特に古い資料や専門ソフトでは独自エンコーディングが使われていることもあるため、Unicodeとの関係を理解しておくとトラブルを避けやすくなります。
UnicodeとUTF-8で扱うメリット
現在のベトナム語テキストは、基本的にUnicodeでの表現が標準になっており、WebでもアプリでもUTF-8で保存しておけば互換性が高くなります。
Unicodeではベトナム語の拡張ラテン文字が事前合成された形で定義されているため、フォント側で適切なグリフさえ用意されていれば、どの環境でも同じ文字を再現しやすくなります。
| 環境 | Webサイト |
|---|---|
| 推奨エンコーディング | UTF-8 |
| 環境 | 一般的なアプリケーション |
| 推奨エンコーディング | UTF-8 |
| 環境 | 特殊なレガシーシステム |
| 推奨エンコーディング | 可能ならUTF-8へ移行 |
LaTeXやDTPなど一部の環境では専用のエンコーディングを使うこともありますが、最近のワークフローではUTF-8対応が進んでいるため、基本方針としてはUTF-8を第一候補に考えておくとよいでしょう。
複数のソフトウェアやプラットフォームをまたぐプロジェクトでは、最初に文字コードの方針を共有しておくことで、後からの文字化けを大幅に減らすことができます。
古いVNIフォントやTCVNフォントに出会ったときの対処
昔作られたベトナム語文書では、VNIやTCVNなど独自のエンコーディングに対応したフォントが使われていることがあり、そのままUnicode環境で開くと文字化けしてしまいます。
このような文書を再利用するときは、まずどのエンコーディングで作られているかを確認し、変換ツールを使ってUnicodeに変換してから編集するのが安全です。
- 元データで使用しているフォント名を確認
- VNI系やTCVN系かどうかを調べる
- 必要に応じてUnicode変換ツールを利用
- 変換後はUnicode対応フォントで再整形
どうしても元フォントを使わざるを得ない場合は、同じフォントを自分の環境にもインストールし、編集ではなくPDF化などの最小限の作業にとどめることも検討材料になります。
将来的な保守性を考えると、重要な文書は時間をかけてでもUnicodeベースに置き換えておくことが望ましいと言えるでしょう。
DTPやLaTeXでのベトナム語設定のポイント
専門書籍や論文でベトナム語を組版するときは、DTPソフトやLaTeXでベトナム語対応のフォントとエンコーディングを正しく設定する必要があります。
LaTeXではベトナム語用にT5など専用のフォントエンコーディングが用意されており、近年はUTF-8入力と組み合わせて使うのが一般的です。
- ベトナム語対応フォントパックを導入
- ドキュメントクラスでベトナム語用オプションを指定
- 入力エンコーディングにUTF-8を利用
- 出力結果で声調記号の重なりを目視確認
DTPソフトでは、多言語対応フォントセットを使うことで、同じデザインの中に日本語とベトナム語を一貫したスタイルで配置しやすくなります。
長期的に運用する出版物では、採用するフォントとエンコーディングをガイドラインとして文書化し、プロジェクト全体で統一しておくと後からの修正コストを抑えられます。
ベトナム語フォント選びをスムーズに進めるための視点
ベトナム語のフォント選びは難しそうに見えますが、ベトナム語特有の拡張ラテン文字に対応していること、UnicodeとUTF-8を前提に設計すること、声調記号の読みやすさを必ず確認することの三点を押さえれば、実務で困る場面はぐっと減ります。
Web制作ではベトナム語対応のGoogle Fontsとシステムフォントの組み合わせ、Office文書では標準フォントの活用とフォント埋め込み、DTPやLaTeXではベトナム語対応フォントパックとエンコーディング設定といったように、用途ごとに戦略を分けて考えることが大切です。
日本語とベトナム語を同じレイアウトで扱うプロジェクトであっても、ここで紹介したポイントを意識しながらフォントを選んでいけば、文字化けや読みにくさを避けつつ、落ち着いたデザインに仕上げることができるでしょう。

