ベトナム移住を考えるとき、一番最初に気になるのが「ベトナム移住でいくら貯金が必要なのか」という現実的なお金の問題です。
日本より物価が安いイメージはあっても、実際にどれくらい生活費がかかり、どれくらい貯金があれば安心して移住をスタートできるのかは人によって条件が変わります。
この記事では、ベトナムの生活費の相場や初期費用の内訳、働き方別の貯金シミュレーションをもとに、自分に合った「必要貯金額」の考え方を整理していきます。
単身でのベトナム移住を狙う人も、家族でゆとりある暮らしと貯金を両立したい人も、移住前にお金の全体像をつかむことで不安をかなり小さくできます。
ベトナム移住でいくら貯金が必要?
ここでは、ベトナム移住でいくら貯金が必要かを考えるために、生活レベル別の目安や働き方の違いを整理しながら、現実的な「スタートライン」をイメージできるようにしていきます。
ベトナム移住の貯金目安を決める考え方
必要な貯金額は「毎月の生活費」「初期費用」「無収入期間に備える生活防衛費」の三つを合計して考えると整理しやすくなります。
まず、自分がどの都市に住み、どのくらいの生活レベルを求めるのかを決めることで、おおよその月々の生活費のレンジが見えてきます。
次に、住まい契約の保証金や家具家電などの初期費用にどれくらいかけるかをイメージして、移住直後の出費を見積もります。
最後に、仕事が決まるまでや急な帰国が必要になったときに備えて、最低でも三〜六か月分、できれば一年分程度の生活費を余分に確保しておくと安心度が大きく変わります。
単身で移住する場合の必要貯金
単身でベトナムに移住する場合、ローカル寄りの暮らしを選べば日本よりかなり生活費を抑えることができます。
現地採用やリモートワークで働きながら、ローカル食堂やシェアハウスを活用するスタイルであれば、月十万〜十五万円前後に生活費を収めることも十分に可能です。
この前提で考えると、単身移住の必要貯金は「三〜六か月分の生活費+初期費用」を目安に、少なくとも五十万〜百万円程度を一つのラインにすると現実的です。
さらにゆとりを持たせたい場合や、しばらく仕事を探しながら暮らすつもりなら、百五十万〜二百万円程度まで貯金を積み上げておくと精神的な余裕がぐっと高まります。
夫婦・家族で移住する場合の必要貯金
夫婦や子ども連れで移住する場合は、家賃や食費に加えて教育費や医療費の負担も想定して貯金額を考える必要があります。
都市部の中間的なレベルの暮らしをイメージすると、夫婦二人で月十五万〜二十万円前後、子どもがいる場合は二十万〜三十万円前後を目安に見積もる人が多くなります。
この前提で考えると、家族移住の場合の必要貯金は「六か月〜一年分の生活費+初期費用」をベースに、最低でも二百万円以上、できれば三百万円以上を準備しておきたいところです。
特に子どもの教育をインターナショナルスクールに頼る場合は、学費が日本と同等かそれ以上になることもあるため、この部分だけは別枠で上乗せ資金を想定しておきましょう。
現地採用で働く場合の貯金シミュレーション
現地企業に雇われる「現地採用」の場合、月給は日本円換算で十五万〜二十五万円程度が一つのレンジになりやすくなります。
月々の生活費をうまく抑えれば、五万〜十万円ほどの貯金を続けていくことも十分に狙えます。
例えば、月給二十万円で生活費を十三万円にコントロールできれば、残り七万円は貯金や日本への送金に回すことができます。
このペースを一年続ければ八十万円以上、三年続ければ二百五十万円前後の貯金に育てられるため、移住生活そのものが「資産形成のステージ」になり得ます。
リモートワーク・年金移住の場合の貯金シミュレーション
日本の会社にフルリモートで勤務したり、年金や投資収入をベースに暮らしたりする場合は、収入は日本水準のままで生活コストだけをベトナム水準に抑えられるのが大きな強みです。
例えば、日本で月三十万円の収入があり、ベトナムでの生活費を十五万円におさえられれば、理論上は毎月十五万円を貯金に回すことも可能です。
年金移住の場合も、年金だけで日本ではギリギリだった暮らしが、ベトナムでは少し外食や旅行を楽しみながら貯金もできるバランスになるケースがあります。
このタイプの移住は、事前の貯金額よりも「安定した収入源が維持できるかどうか」が鍵になるため、仕事の継続性や為替レートの変動リスクも一緒に考えておく必要があります。
失業・病気に備える生活防衛費の考え方
どのような働き方を選ぶ場合でも、失業や病気でしばらく働けない期間を想定した「生活防衛費」を貯金に含めておくことが大切です。
一般的には、六か月〜一年分の生活費を生活防衛費として確保しておくと、多くの不測の事態に対応しやすくなります。
ベトナムは医療費や保険の仕組みが日本と大きく違うため、海外旅行保険や現地の民間医療保険に加入する場合の保険料も生活防衛費の一部として考えます。
日本に緊急帰国する航空券代も含めて、いざというときに「お金の心配をしながら治療や帰国を検討する」状況を避けられるように準備しておきましょう。
為替レートとインフレを踏まえた余裕資金
ベトナム移住では、日々の生活費だけでなく為替レートとインフレも無視できない要素です。
円安が進むと、同じベトナムドン建ての生活費でも日本円に換算したときの負担が重くなるため、日本で貯めた貯金の価値が目減りするリスクがあります。
また、ベトナムは経済成長とともに物価も少しずつ上がっており、数年単位で見ると生活費がじわじわ増えていく傾向があります。
こうした変動を踏まえて、計算上の必要額よりも二〜三割程度多めに貯金を用意しておくと、長期的な安心感が大きく変わってきます。
ベトナムの物価と生活費のリアル
ここでは、日本と比べたベトナムの物価水準や、都市部で暮らす場合の生活費の目安を整理しながら、どのくらいの支出でどのような暮らし方ができるのかを具体的にイメージしていきます。
物価水準と日本との比較
ベトナムの物価は全体として日本の三分の一〜二分の一程度といわれており、特に食事やカフェ、交通費の安さは移住者がすぐに実感しやすいポイントです。
ローカル食堂のランチは百五十円前後から、カフェでコーヒーを飲んでも百円前後と、日本の感覚からするとかなりお得に感じられます。
タクシーの初乗りも日本の数分の一ほどで、配車アプリを使えば日常的な移動コストを大きく抑えることができます。
一方で、輸入品や日本食レストラン、高級住宅など「日本寄りの生活スタイル」を選ぶと、日本とあまり変わらないか、むしろ割高に感じる場面も出てきます。
ハノイ・ホーチミンの家賃相場
家賃は都市やエリア、物件のグレードによって幅がありますが、ローカル寄りのアパートであれば単身向けで三万〜六万円前後、中級〜高級サービスアパートになると八万〜十五万円前後が一つの目安です。
夫婦や家族で住めるような二〜三ベッドルームのコンドミニアムでは、十万〜二十万円程度がよく見られるレンジになります。
日系企業が手配する駐在員向け物件や、インターナショナルスクールに近いエリアの高級コンドミニアムは、家賃が三十万円を超えるケースも珍しくありません。
どの家賃帯を選ぶかによって、同じベトナム移住でも「生活費」と「貯金のしやすさ」が大きく変わるため、自分の優先順位を明確にしておくことが重要です。
食費・交通費・通信費の目安
食費はどこまで外食中心にするか、どれくらい日本食や輸入品を利用するかで金額が大きく変動します。
ローカル食堂と自炊中心の生活なら、単身で月二万〜三万円台、夫婦で四万〜六万円台に収めることも十分に可能です。
交通費はタクシーや配車アプリを日常的に使っても、日本と比べてかなり安く、単身なら月数千円〜一万円台が一つの目安になります。
通信費は固定回線とスマホ通信量を合わせても日本よりかなり低く、インターネット契約とプリペイドSIMをうまく組み合わせれば、月千円〜二千円台で収められることもあります。
生活レベル別の月々の支出モデル
同じベトナム移住でも、生活レベルによって毎月の支出は大きく変わるため、自分がどの層を目指すのかをイメージしておくと貯金計画を組み立てやすくなります。
| 生活レベル | ローカル寄りの節約生活 |
|---|---|
| 単身の目安 | 月十万〜十三万円程度 |
| 夫婦の目安 | 月十五万〜十八万円程度 |
| 特徴 | ローカル食堂中心・中級アパート・週末は近場で気軽に外出 |
| 貯金のしやすさ | 安定収入があれば毎月五万〜十万円の貯金も狙える |
医療費や教育費など見落としがちなコスト
ベトナム移住では、日々の生活費に目が行きがちですが、医療費や教育費など見落としがちなコストにも注意が必要です。
特にインターナショナルホスピタルの診療費や、外国人向けの保険料、インターナショナルスクールの学費は、日本と同等かそれ以上の負担になるケースもあります。
これらは日常の支出ではないものの、いざというときにまとまった金額が必要になるため、事前に調べたうえで貯金計画に組み込んでおくと安心です。
- 海外旅行保険や現地医療保険の保険料
- インターナショナルホスピタル受診時の自己負担
- 子どもの学費や入学金
- 日本への一時帰国の航空券代
- 長期ビザ更新に伴う諸費用
ベトナム移住前に準備したいお金の内訳
ここでは、ベトナム移住をスタートさせるうえで必要になる初期費用の内訳を整理し、どの項目にいくらくらい見ておくと安心なのかを確認していきます。
航空券と初期滞在費
まず必要になるのが、日本からベトナムへ移動するための航空券と、到着後しばらくの滞在費です。
航空券は時期や航空会社によって幅がありますが、往復で五万〜十万円前後を見込んでおくと余裕が出ます。
到着後すぐに長期の住まいを決めない場合は、一〜二週間程度のホテルやサービスアパートの費用も必要になります。
この期間に家探しや各種手続きを進めることになるため、最低でも十万〜二十万円程度の「初動資金」を手元に用意しておきたいところです。
住まい契約の初期費用
ベトナムでアパートやコンドミニアムを借りる際には、日本の敷金にあたるデポジットと、初月の家賃が必要になります。
デポジットは家賃一〜二か月分が相場で、ローカルアパートでは一か月分、高級コンドミニアムでは二か月分を求められることが多くなります。
日本と違って礼金が不要な点はメリットですが、契約期間を満たさずに退去するとデポジットが返金されないケースもあるため、契約条件は必ず確認しましょう。
家賃十万円の物件を借りると仮定すると、デポジット一〜二か月分と初月家賃を合わせて二十万〜三十万円程度の初期費用が必要になるイメージです。
ビザ取得・各種手続き費用
長期滞在を前提にベトナム移住を行う場合は、ビザやレジデンスカードなどの手続きが欠かせません。
現地採用で就労ビザや労働許可証を取得する場合は、多くの会社が費用を負担してくれますが、自分で手配する場合は数万円〜十数万円ほどの支出を想定しておく必要があります。
投資ビザや長期観光ビザ、学生ビザなど、選ぶビザの種類によって必要書類や費用は大きく変わるため、移住プランに合ったビザ種別を早めに決めて情報収集を始めるのが得策です。
ビザの更新費用も定期的にかかるため、初期費用だけでなく毎年の維持費としても計画に組み込んでおくと安心です。
家具・家電・日用品の立ち上げ費用
家具付きのサービスアパートなどに入居する場合は、初期費用をかなり抑えることができますが、それでも細かな日用品やキッチン周りの備品の購入は必要になります。
家具がほとんどない物件を借りる場合は、ベッドやソファ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電を揃えるために数十万円単位の出費になることもあります。
一方で、ベトナムには家電や家具のレンタルサービス、短期滞在者向けの家具付き物件も増えており、こうしたサービスをうまく活用すれば初期費用をかなり軽くできます。
自分がどこまで快適さを重視するかを整理したうえで、「最低限必要なもの」と「あれば便利なもの」に分けて予算を組むと無駄な支出を抑えやすくなります。
当面の生活費として用意しておきたい金額
最後に重要なのが、移住直後に収入が安定しない期間を支えるための「当面の生活費」です。
単身でローカル寄りの暮らしをする場合でも、三か月分の生活費として三十万〜四十万円前後、六か月分なら六十万〜八十万円前後を目安に考えておくと安心感が違います。
夫婦や家族で暮らす場合は、この金額を世帯構成に応じて上乗せし、最低でも六か月分、できれば一年分の生活費を日本円ベースで確保しておきたいところです。
これらを住まいの初期費用や航空券代と合わせて計算すると、自分にとっての「ベトナム移住に必要な貯金額」がより具体的に見えてきます。
ベトナム移住後に貯金を増やすための生活戦略
ここでは、ベトナム移住後の毎月の支出を上手にコントロールしながら、無理なく貯金を増やしていくための具体的な生活戦略を整理していきます。
家賃とエリア選びの優先順位
ベトナム移住後の家計に最も大きな影響を与えるのは、やはり家賃と住むエリアの選び方です。
同じ家賃でも、中心部に近いかどうか、ローカルエリアか外国人向けエリアかで生活の雰囲気や利便性は大きく変わります。
貯金を優先したい場合は、外国人が多い高級エリアを避けて、ローカル寄りの落ち着いた住宅街や、中心部から少し離れたエリアを検討するのが効果的です。
通勤や生活の動線と照らし合わせながら、自分にとっての「コストと快適さのバランス」が取れるエリアを探していくことがポイントになります。
ローカル食堂と自炊のバランス
ベトナムでは、ローカル食堂や屋台をうまく活用することで、食費を日本の半分以下に抑えることも夢ではありません。
一方で、毎日外食ばかりだと栄養バランスが偏りやすく、意外と支出も増えていくため、自炊とのバランスを取ることが大切です。
市場やスーパーで野菜や肉をまとめて購入し、朝食や軽い夕食は自炊、昼はローカル食堂を利用するスタイルにすると、健康面と節約の両方のメリットを得やすくなります。
日本食材や輸入品は高くなりがちなため、「どうしても日本の味が恋しいとき」にだけアクセントとして取り入れるくらいの感覚でいると、貯金のペースを守りやすくなります。
移動手段と交通費のコントロール
移動手段の選び方も、長期的に見ると生活費と貯金額に影響してきます。
短距離の移動にはタクシーや配車アプリが便利ですが、毎日使うとじわじわ支出が増えていくため、生活エリアの選び方とセットで考える必要があります。
バイクを購入して自分で運転するスタイルは、初期費用はかかるものの、長期的に見れば交通費の大きな節約につながることが多くなります。
いずれの手段を選ぶ場合も、安全面や保険の加入状況を確認しながら、「安さだけでなくリスクとのバランス」も含めて検討することが大切です。
家計簿アプリで支出を見える化する
物価が安いベトナムでは、「このくらいなら大丈夫だろう」という感覚でお金を使っていると、気づかないうちに支出が膨らんでいることがあります。
特にベトナムドンは桁数が多く、日本円への換算を意識しないまま支払ってしまいがちなため、金銭感覚が緩みやすい傾向があります。
そこで、家計簿アプリやスプレッドシートを使って、月ごとの支出を見える化し、家賃や食費、交際費などのバランスを定期的に振り返る習慣をつけると効果的です。
「家賃〇%、食費〇%、貯金〇%」といった自分なりの目標比率を決めておくと、移住生活を楽しみつつ貯金ペースを維持しやすくなります。
現地の割引サービスやプロモーションの活用
ベトナムの都市部では、飲食店やサロン、ジム、オンラインショップなどで頻繁に割引キャンペーンが行われています。
ローカルのアプリやクレジットカード、電子決済サービスを組み合わせることで、支出を抑えながら少しリッチな体験をお得に楽しめる場面も少なくありません。
ただし、「割引だから」と必要以上にサービスを利用してしまうと本末転倒になるため、あくまで日常の支出の延長線上で賢く使う意識が大切です。
ベトナム生活に慣れてきたら、自分がよく使うお店やサービスのプロモーション情報だけを追うようにすると、時間とお金の両方を節約できます。
ベトナム移住で貯金しやすい働き方
ここでは、ベトナム移住後にどのような働き方を選ぶと貯金を増やしやすいのかを、現地採用・駐在・リモートワーク・副業などのパターン別に整理していきます。
現地採用で働く場合のポイント
現地採用で働く場合、給与水準は日本より低くなることが多い一方で、生活費も大きく抑えられるため、暮らし方次第ではしっかり貯金することも可能です。
給与の額面だけで判断するのではなく、家賃補助や食事補助、通勤手当、保険などの福利厚生も含めた「実質的な手取り」を意識して比較することが重要です。
生活費をローカル寄りにコントロールできれば、現地採用でも月数万円〜十万円前後の貯金を続けられるケースは決して珍しくありません。
一方で、日系企業の現地採用でも職種によって昇給ペースが異なるため、三〜五年先を見据えたキャリアパスも合わせて検討しておくと安心です。
駐在員としてのベトナム移住
日本本社からの駐在員としてベトナムに赴任する場合は、給与水準が日本並みかそれ以上になり、住宅手当や教育補助などが充実しているケースが多くなります。
企業が住まいや車、ドライバーを用意してくれる場合は、毎月の個人支出がかなり抑えられるため、貯金を増やすには非常に有利な環境と言えます。
ただし、駐在期間は三〜五年程度に限られることが多く、その後の帰任後の生活やキャリアを見据えた貯金計画を立てることが重要です。
駐在期間を「集中的に資産形成を進める期間」と位置づけ、帰任後のライフプランも含めてお金の設計図をつくると、限られた期間の価値を最大化できます。
リモートワークやノマドワーカーとして暮らす
日本や海外の企業とリモートで契約しながらベトナムに居住するスタイルは、近年ますます増えている働き方の一つです。
収入は日本や世界水準を保ちつつ、生活コストだけをベトナム水準に下げられるため、貯金効率という意味では非常に魅力的です。
ただし、フリーランスやプロジェクトベースの仕事の場合は収入が不安定になりがちなので、収入のボラティリティを考慮して、生活防衛費や税金の支払い分も多めに確保しておく必要があります。
現地のコワーキングスペースやカフェの環境も活用しながら、「仕事が続く前提」ではなく「仕事が減った場合にも耐えられる貯金計画」を意識することが大切です。
副業やオンライン収入の組み合わせ
現地採用や駐在員として働きながら、日本向けの副業やオンラインビジネスを組み合わせることで、貯金ペースを加速させることもできます。
例えば、平日の夜や週末に日本語教師や翻訳、プログラミング、デザインなどのオンライン案件をこなすことで、毎月の余剰資金を増やしていくイメージです。
ベトナムは生活費が抑えやすい分、時間とお金の余裕を副業や自己投資に回しやすい環境ともいえるため、このメリットを活かせるかどうかで将来の資産形成に差がつきます。
ただし、現地の就労ビザや契約内容によっては副業が制限されるケースもあるため、法的な条件を事前に確認したうえで無理のない範囲で取り組むことが重要です。
ベトナム移住で貯金を守るリスク管理
ここでは、せっかく貯めた貯金を減らさないために、ベトナム移住で意識しておきたいリスク管理のポイントを整理していきます。
為替リスクと資産の持ち方
ベトナム移住では、収入や支出が複数の通貨にまたがることが多くなり、為替レートの変動が家計に直結します。
円建ての貯金だけに偏ると、急激な円安でベトナムでの生活コストが重くなるリスクがある一方、現地通貨や外貨に偏りすぎても日本への帰国時に不利になることがあります。
そのため、円・ベトナムドン・主要外貨などを組み合わせて資産を分散させたり、外貨預金やインデックス投資などで長期的な資産形成を併用したりする工夫が有効です。
短期的な為替の上下に振り回されず、数年単位でのトレンドを意識しながら資産配分を見直していく姿勢が大切になります。
医療・保険リスクへの備え
病気やケガはいつ起こるかわからないため、医療費と保険はベトナム移住における非常に重要なリスク管理のテーマです。
現地採用の場合は会社負担で民間医療保険に加入できることが多いものの、適用範囲や自己負担額、提携病院などは事前に必ず確認しておく必要があります。
日本の健康保険を任意継続するかどうかや、日本への一時帰国時に医療機関を利用する可能性も含めて、「どの国でどのような医療を受けるのか」という観点から保険プランを選ぶことが大切です。
医療費は突発的に大きな支出になることがあるため、保険だけでなく、医療用の緊急予備資金を別枠で用意しておくと安心感が高まります。
治安とトラブルへの備え
ベトナムは全体として大きな危険が少ないと感じる日本人も多い一方で、スリやひったくりなどの軽犯罪は都市部で一定数発生しています。
夜間の一人歩きを避ける、人通りの少ない路地や路上駐車の多いエリアを避ける、貴重品を見えるところに置かないといった基本的な対策を徹底するだけでも、リスクは大きく下げられます。
家やバイクの鍵、パスポートや在留カードの管理など、日常の行動の中で「失くしたら困るもの」を明確にし、それぞれに対して具体的な対策を決めておくと安心です。
トラブルに巻き込まれたときに相談できる現地日本人コミュニティや、日本大使館・総領事館の連絡先も事前に控えておくと、いざというときの心理的負担が軽くなります。
帰国費用と次のキャリアへの備え
どれだけベトナムでの暮らしを気に入っても、家庭の事情や健康、仕事の変化などで突然帰国が必要になる可能性はゼロではありません。
いつでも日本へ帰れるよう、家族分の片道航空券と、日本での数か月分の生活費を確保しておくことは、精神的な安全弁として非常に大きな意味を持ちます。
また、ベトナムでの経験を日本や他国でのキャリアにどうつなげるのかも、移住期間中から意識しておくと安心です。
語学や専門スキル、人脈などを意識的に積み上げながら、「いつ帰国しても次の一歩を踏み出せる自分でいること」が、貯金だけでは得られない大きな安全網になります。
貯金を味方にするベトナム移住の進め方
ベトナム移住でいくら貯金が必要かは、暮らし方や働き方、家族構成によって大きく変わりますが、「毎月の生活費の目安」「初期費用の内訳」「無収入期間に備える生活防衛費」の三つを整理すれば、自分なりの必要額が具体的に見えてきます。
日本より物価が安いベトナムでは、工夫次第で月々の支出を抑えながら貯金を増やすことも十分に可能ですが、為替やインフレ、医療費や教育費といったリスクも忘れずに計画に織り込むことが大切です。
移住前に貯金の目標額とタイムラインを決め、移住後は家計簿や資産管理を通じて定期的に「お金の現在地」を確認しながら、自分と家族のライフプランに合ったベトナム移住をデザインしていきましょう。

